ども、
稀見理都です。
夏コミの同人誌、ようやく入稿いたしました。後は仕上がりを待つだけです!
夏コミの情報は、また近いうちにまとめて告知いたしますので(バックナンバーなどの情報も)もうしばらくお待ち下さい。
今回は、最近自分でも注目している「マンガ家マンガ」から、新刊の二つを選んでレビュー&宣伝をさせていただきます。
一つは
海野螢先生の「
アリスの二つの顔(中)」! マンガ家マンガの中でも『エロマンガ』がテーマになっているもので、ここ最近多く見かけるジャンルになってきました。と言っても、それぞれ切り口が違って本当に面白いジャンルだと思います。まさに、
10エロマンガ家10エロマンガです!(余計わからないか…w)
もう一つは、エロマンガではありませんが「コミックヴァルキリー」に連載されていた「
こいもく」、ちょっと変わった『マンガ家と編集者』物語です。
■本当に「実用的」なエロマンガ!
「マンガ家マンガ」の定義と言ってもはっきり決まっているわけではないですが、ここでは「
マンガの中で主キャラクターがマンガ家であり、マンガの話を中心に進んでいくマンガ」を指します。フィクションでも自伝のようなノンフィクションでもかまいません。
近年、このような「マンガ家マンガ」というジャンルが非常に活性化してるんですが、エロマンガでもそれは同様です。特にエロマンガという要素に加え、指南書的なストーリーも兼ね備えた、エロでもマンガの実用書(?)としても使える2度美味しい作品が増えてきています。代表的な本で言うと…
ゴージャス宝田先生の「キャノン先生トばしすぎ!」、金平守人先生「エロ漫の星(上)(下)」などが記憶に新しいでしょう。ま〜エロマンガの実用書と言うにはちょっと
大げさかもしませんが、少なくとも「精神的」な部分での心構えなどは学べるんじゃないでしょうか(^_^;
しかし、今回紹介する、海野螢先生の「アリスの二つの顔」シリーズは、確実に「マンガ的テクニック実用書」、そしてもちろん「エロマンガとしてのヌキ」としても使える素晴らしい作品となっています。
今回は、先日発売された新刊を主にレビューしたいので、上巻はとりあえずダイジェストで紹介します。
| 自信満々で業界トップのエロ漫画編集部に持ち込んだが… | |
このマンガの主人公、木崎鏡一(きさききょういち)はエロ漫画家を目指して上京してきた
夢多き青年! しかし、
業界大手の出版社に鳴り物入りで自信作を持ち込んだが、結果は玉砕。
とにかくマンガの基本が出来てない、という部分からたくさんの指摘を受け凹む主人公。しかし、出版社の帰りに急に彼の前に謎の少女が現れる。
| 自分が描いたマンガのヒロインそっくりの貧乳・ショートの少女が目の前に… | |
その少女は自分をアリスと言い、彼の描いたマンガのヒロインそっくりで、しかも「
貧乳・ショート」まで同じ。細かい説明は省略するが(笑)とにかく、マンガの神様を名乗り、エロ的実践を含むテクニカルな部分を彼に伝授していくことになる!
主人公は彼女の指導のもと、どんどんマンガのレベルを上げ、ついに編集長に認められ、デビューを果たす!!
| エロエロ指導のおかげでついにデビューを果たす彼だが… | |
かなりはしょったが、マンガの描き方については的を射た内容で、普通に勉強になり、実践的アドバイス故に彼の成長も納得が得られる!(マンガ家志望の人も必見だよ!)
■エロマンガ家としてどう生きるべきか!!
上巻がデビュー編とするならば、今回紹介する中巻は、「エロマンガ家としての心構え指南」というかデビュー後どうすべきかという実践編だろう!
無事デビューをはたした主人だったが、こんどはエロマンガ作家としてのいろいろな壁にぶち当たることになる。
実際に自分の作品が載った雑誌を読んでみて、自分が描いた原稿がどのように印刷され、それがどういう意味を持つかなど、デビューする前には思いもしなかった問題を考えるようになる。(この辺は、実にリアル)
そんなときに、同じ雑誌でマンガを描いている先輩作家の、白雪美沙姫(しらゆきみさき)が現れる。
彼女は市場をしっかり調査して、人気のあるジャンルを描くのが売れるための近道、もしくはニーズに応えるのも作家の仕事とアドバイスするが、鏡一(主人公)は貧乳・ショートを自分の「個性」と主張する。ただ、彼もそうは言ったが実際にどうなのかという、迷いも同時に生じ、いろいろ考えさせられることにはなる。
このあたりは、ある意味「
貧乳・ショート」をポリシーにしている、海野先生自身への自問自答のように見えて面白い。もちろん、もう先生なりの結論は出されていると思うが(笑)
マンガ家はこだわりを持って作品を描くべきか、それともニーズに応える努力をすべきか? で、迷う主人公。そんな彼に、何故か執ように絡む人気作家の白雪。
| 売れるためにどうすればいいのかという事を彼を説得する | |
彼女がそこまで売れるマンガにこだわるには実は理由があった。彼女もまたマンガ家としてどう理念を持つかという部分において、一種のコンプレックスを持っており、彼といろいろぶつかることによって、徐々に自分のことを打ち明け始める…
そのコンプレックスをアリスと一緒に乗り越える過程で、彼もまたエロマンガ家として成長していく…
と、今回紹介している箇所は非常にマンガ家としての成長部分ばかりなので、何でこれがエロマンガ??(^_^; と思うかも知れない。でも、省略はしているが、もちろん半分以上はエロパートだ!(笑)
| エロマンガを描くためにはもちろんエロ実践が必要不可欠! | |
アリス、編集長、人気作家の白雪に、今回は全然紹介しきれてないが、幼なじみのありさちゃんと、たくさんのエロ要素も満載だ! なので、貧乳、ショート好きはもちろん、
普通のエロマンガとしても十分お勧めなので、是非読んでほしい一冊である!
あと、この本のもう一つのおすすめポイントは、巻末のおまけページである。おまけと言っても、もの凄くためになる、この本自体のメイキングのような解説ページである。
さて、最後の下巻は主人公がプロマンガとしてさらにどのように成長していくか? そして、そんな女の子との絡みがあるのか?! など、期待大である。
そして、なんと今回「アリスの二つの顔(中)」のPV動画まで出来ていますので、是非見て下さい! そして、みんなも買ってね( ^_^)/
■マンガ家と才能!
次に紹介するのは、エロマンガではないけど、エロマンガより?のコミック「ヴァルキリー」で連載されていた、ちょっと異色のマンガ家マンガ「こいもく」(著:林達永 画:李海源)
正直、こんなマンガが連載されていたことを知りませんでした(^_^;
(ごめんなさい、キルタイム様)
今回のマンガのテーマは、ズバリ「才能」。今回は、この才能という言葉を頭に浮かべながら読んでいただくとわかりやすいかも…。
主人公の稲峰耕太はマンガ家になるために上京して2年になる、マンガ家志望者。
しかし、仕事ではミスの連続で、せっかくもらった仕事をすぐにクビになってしまう日々。
上京して専門学校に通った同期で自分より格下だと思っていた知り合いが、どんどんとプロになり、人気作家になっていく。そんな同期を横目に、何も進めていない自分に焦りを感じている主人公。
俺には才能がないのか? だからいつまでも芽が出ないのか? と、仕事のミスも重なりかなり自暴自棄になる主人公。
しかし、そんな彼が住んでいる安アパートの隣に住んでいる女性が、実はとある弱小出版社の編集長だということが判明する。
酔いつぶれて、とてもだらしのない彼女だったが、そんな彼女を介抱したのがきっかけで、編集長とマンガ家志望の青年という立場が明らかに。
ひょんな事から原稿を見てもらうことになった主人公。
自分の作品にとても自信が持てなかった彼だったが、編集長から出た言葉は非常に意外な言葉だった。
「
あなたには才能がある、だからチャンスをあげる!」と編集長は言うのだ。
その言葉がとても信じられない主人公。それも当然だ、今までそんなこと一度も言われたこともなかったから。しかも、彼女(編集長)には、新人を喰っては使い捨てにするという悪い噂があり、とても「才能」があると自信を持つことなど出来るはずがなかった…
といいつつも、マンガを描かないわけにはいかず、ネームを描いてはリテイクを繰り返す日々。才能があると言われたのに一向にOKが出ない。苛立ちだけが鬱積していく。
もっと可愛い女の子が描けないのか? 男として抱きたいような女を描け!と言われ、ついにキレる主人公!
| セックスすればうまいマンガが描けるんでしょう!と詰め寄る主人公! | |
はたして!一体彼女の言った「才能」とはどういう意味なのか? そして、主人公は彼女の思惑、そして編集長を取り巻く出版界の要求にどう応えていくのか!
■マンガ家だけの視点ではなく、編集者同士の熱いバトルでもある!
このマンガ、基本的には主人公と紹介した編集者の話であるが、新人の「才能」を発掘する、そして開花させる!という、編集者視点のストーリーにも重きを置いていて、それが新しい部分でもある。編集者同士の駆け引きという部分もある。
そういう意味では、マンガ家もそうだが新人編集者も多少は参考になる部分もあるかも知れない。わかりやすい才能だけではなく、埋もれた才能、金のたまごというもの探しだし、成長させることもマンガ界に必要な「才能」なのだ!!
というわけで、どちらも続巻で続きが気になる一冊である!
マンガ家マンガも大好きなので、もっといろんなジャンルのマンガ家マンガがでてくれるといいな〜〜(笑)