ども、
稀見です。
おかしい、おかしいぞ今年こそ少しは落ち着いて仕事(本業)ができると思っていたのに、いつの間にやらスケジュールが
マピュピチュ並みにぎっしり隙間無く埋まってるぞ! いや、詰まりすぎて崩壊寸前か?
なので、今回のマンガのレビュー記事も本当はもっと早めにやろうとは思っていたんだけど、結局延び延びで今頃という感じもするかもしれませんが、先月今月は、本当に面白いマンガが目白押し(あくまで稀見理都基準)だったので、隙間がなくても差し込みますよ!
男は差し込むのが好きなんです!!
今回レビューする本は、大きく3つ。4月に発行された、主にエロマンガをテーマにした一般コミック(全年齢指定)の本になります。
どれも、エロマンガへの「愛」に満ちており、エロマンガ好きには絶対お勧め、いや、そんなに読んでない方にも是非とも読んでもらいたい3冊になっています。
紹介するのは…
・「漫犬 2巻」(著:金平守人 発行:少年画報社)
・「いちきゅーきゅーぺけ 1巻」(著:甘詰留太 発行:白泉社)
・「まるせい 3巻」(著:花見沢Q太郎 発行:少年画報社)
の3冊になります。
どれも、エロマンガ好きにはたまらない、と同時にいろいろな想い、懐かしみ、哀愁を感じる素晴らしい作品になっています(=゚ω゚)ノ
では、早速紹介していきましょう〜〜
■みんなは199Xに何をしていた?
| 「いちきゅーきゅーぺけ 1巻」(著:甘詰留太 発行:白泉社) | |
最初に紹介するのは、「ナナとカオル」で、一大SMブームを起こした甘詰留太先生の新作「いちきゅーきゅーぺけ 1巻」 1巻」
いや、エロマンガファンにとってはもう当たり前の知識、「
A・浪漫・我慢」先生と呼んだ方がしっくり来る方も多いでしょうか? そんな、現エロマンガ家でもある先生が描く、半自伝的、エロマンガ青春群像マンガが「いちきゅーきゅーぺけ」になります。
ネット上ではかなり話題になっていて、もういろんな声が上がって盛り上がっていますぞ!
話は、あるエロマンガ好きの田舎青年、中井純平が東京の大学に進学し上京してくるところから始まります。
| エロマンガが大量に! ここは桃源郷か!? なつかしのマンガの森 | |
まだネットも十分ではない1994年、田舎でのエロマンガの情報は少ない。そんな田舎者の純平にとって、マンガの森のエロマンガコーナーはまさに今まで見たことのない
エロマンガの王国。その圧倒的な情報量に圧倒される主人公。
| 当時最もメジャーであったエロマンガ雑誌の1つであった「漫画ホットミルク」 | |
ふと、普段から購読していただろう「
漫画ホットミルク」(白夜書房)に手を伸ばす主人公。そこで出会う人物が純平の人生をより深いエロマンガ人生へと導いていくとは!
彼女(桜町・クリス・真綾)は純平と同じ大学に通う学生で、純平を彼女が属する「W大ひねくれっ子マンガ集団」というサークルに誘い、よりディープな世界への扉を開いていく。
この「W大ひねくれっ子マンガ集団」は、現早稲田大学に実際に存在するサークル「いじけっ子マンガ集団」(通称:いじまん)をモデルにしたサークルで、甘詰先生がかつて所属していたサークルでもある。
そのサークルで様々な人物と出会い影響されていく純平だが、もともとの引っ込み思案で自信のない性格で自分のやりたいことが上手く表現できない純平。しかし、純平のエロマンガへの愛を理解してくれる美人先輩、真綾のこの言葉によって、少しずつ自分の目標に向かって歩み出す純平。
このマンガは、純平の成長物語でもあるのだが、やはりメインとなるのは、オタクの三丁目の夕日とでもいうか、
当時の風俗をかなり正確に描写している部分だろう。
当時のメディアはなんと言ってもVHSビデオテープ。そんなノスタルジーな場面をふんだんに盛り込んだ内容がまさにオッサンホイホイ(笑)
言うがやすしだが、このような当時の様子を描くために、著者の甘詰先生は当時をよく知る何人もの方に実際に取材を行い、参考文献を漁り、それはそれは大変な苦労をされて描いているのである。(僕も取材を受けましたよ!!)
目標はできたが、まだいろいろと自信のない純平。そんな彼に、アドバイスをする謎の4年生が登場。
| 考えていただけじゃだめだ、実際にコミケを体験するといい!とアドバイスをするこの方は!? | |
このコマのコミケの地図を見て気づく人は、少なくともコミケ20年戦士? そう、今のビックサイトではなく、
晴海の地図である!
さて、次巻はとうとうコミケ参加編だ! さらにいろんな事を共感できる読者が増えるのではないだろうか? もう待ちきれないです!
さて、この「いちきゅーきゅーぺけ」には、私も微力ながら協力している部分があります。当時のエロマンガシーンなどの取材も受けましたが、メインにご協力させてもらった部分が「
エロマンガ時代考証」という、たぶん世界で初めての肩書きの監修だったんじゃないかと(笑)
具体的には、この時代(主に1994年前後)のエロマンガのデータの検証、あとは表現されていた内容がこの当時にあったものなのかなどと言う、時代劇の時代考証に近いイメージだと思っていただければわかると思います。もの凄い細かい部分ではありますが、そこは甘詰先生。
エロマンガ家としてのプライドがそうさせたのか、もの凄く熱心に打ち合わせて進められていました。
そんな先生から、いくつも連載を抱えて忙しい中、わざわざ献本に手描きイラストまで描いていただき、本当に感無量です。そして、2巻目に向かって、またご協力させてください(=゚ω゚)ノ
| 手描きのイラスト入り献本をいただきました!先生ありがとう〜 | |
■犬が表現の自由を訴える問題作、ここに完結!!
次にご紹介するのは、犬がエロマンガを描くという、前代未聞のエロマンガ家マンガ「漫犬 2巻」になります。1巻のあらすじ、内容については以前このブログでも触れていますので、気になる方は是非!
・「漫犬 -エロ漫の星-」が面白い!(勢いだけの解説)
さて、設定に突っ込みは無用だ! エロマンガ界の頂点を目指す天才作家犬「村山ジョン」は今日もプロの作家として仕事に励んでいた。
しかし気づくとそこは、ある古いアパートのなか、なんとエロ漫画家を目指す若者が共同生活をする「
エロトピア荘」であった!
しかし、そこは夢半ばにして挫折したエロマンガ家達が創り出した幻でもあった。
ジョンは彼らの気持ちの中の、エロマンガへの愛、想いを十分に理解し、背負いさらにエロマンガを描く情熱を燃やしていく。しかし、そんなジョンの前に、
あの条例が立ちはだかる!
なんと、ジョンの描いたエロマンガが、都の青少年育成条例に引っかかってしまったのだ! それを聞いて、担当と一緒に都に赴くジョン。
| エロマンガは著しく性的感情を刺激するものである! 全くその通りである… | |
そこで、ジョンは都の職員と対峙し持論を展開する。
「
著しく性的感情を刺激するもの」とは、実際にはわいせつ物の定義としてよく使われる定義ではある。都の青少年健全育成審議会ではこれと共に、青少年に対して有害であるとされる表現が含まれるマンガなどを審議し、問題のを本を有害図書としてしている流れになる。
ただ、僕もいつも思うのは、エロマンガはまさに性的感情を刺激するための読み物で有り、まさに存在そのものを否定している定義がどうしても納得できない。
俗に「悪い影響を与える」という意味で規制を行うわけだが、性的感情を刺激すること自体が本当に悪い影響を及ぼすんだろうか? 本当に大事なのはその先で、高まった性的感情を如何にコントロールするかという部分が大事なんじゃないかと思う。エロが悪ではないのだエロをコントロールできない輩が悪なのだ!
だが、都の職員にとってそんな詭弁(職員にとっては)は通用しない。次回から修正を厳しくして発行する事を強制させられる事になる。しかし、ジョンの気持ちはどうしても納得がいかない。
そして、この矛盾だらけの規制、法律、社会を変えるためにジョンと、その意見に賛同する仲間達が立ちあがる。
エロマンガ革命を起こすために!
さて、ここからはこのマンガの一番重要且つ、面白い部分故にさすがにネタバレはやめておこう。できれば、興味のある方自身で確かめていただきたい。
エロマンガを解放する方法を!
しかし、こんな面白いマンガがたった2巻で終わってしまうなんて、なんて寂しいだ。もっと描きたいエピソードはたぶんごまんとあったはずだが、多分ではあるが金平先生の一番描きたかった部分はこの巻のエピソードだったんじゃないかと思う。そういう意味では、非常に内容が凝視くされ、かなり熱い話としてまとまったんじゃないかと…
面白いと共に、エロマンガの可能性、今の問題点などをいろいろと考えさせられる名著だと思っています。えろまんがけんきゅう(仮)は今後も金平作品を全面的に応援していきます!!
■エロマンガ家は孤独だが、ハーレム展開できるかも!
| 「まるせい 3巻」(著:花見沢Q太郎 発行:少年画報社) | |
最後に紹介するのが、花見沢Q太郎先生の半自伝的マンガ「まるせい 3巻」になります。半自伝的という面では「いききゅーきゅーぺけ」に似ていますが、こちらは主人公自体が既にマンガ家で、何故かいろんな女性と出会っては別れているという、ある意味リア充じゃないのかこの話は?と思ってしまう、
妙にリアリティーがありつつも願望要素も強い、エロコメマンガになっています(笑)
前巻で、アシスタント、編集さん、などなどなどいろんな女性と関係を持ってきた主人公のQ一朗ではありますが、3巻ではついに声優さんとのロマンスが!
成長物語のように見えて、
実は成長していない主人公。今回も、ある意味いい感じに利用されて結果的にはうまくいかないのですが、それでもさすがにいろんな事を考えようになっていくQ一朗。
そんな中、周りのみんながどんどんと自分の人生を決め歩んでいく!
| 一度結婚までした元担当編集さんは、新しい出会いを… | |
| 現担当は、自分のやりたかったことを見つけ編集部を移動 | |
| アシスタントまで行方不明で、完全に一人になったと奈落の底へ落ちていく主人公 | |
エロマンガ家はいつまでも孤独である。そんなことを自覚しつつも、やはり自分の周りから人が去って行くも事は辛いものであろう。
| いろいろなものを経験してこそ、エロマンガの良さを再確認するQ一郎 | |
エロマンガの良さを再確認すると同時に、人がいなくなることで、
自分にとって大事だった人が誰だったかと言う事を再認識するQ一郎。
Q一郎が体験し、歩んでいくこの話の何%が実際の花Q先生と被る部分なんでしょうか? 倒産や移籍、アニメ化などの話がまさにリアルな話なので、そういう部分を妄想しつつ読み進めていくのも楽しいかもしれません(笑)
しかしながら、この巻で完結です。エロマンガ家がモテるという事がファンタジーではないことを是非証明してほしいですぜ!
さて、微妙にリアルな話に、リアルな花Q先生のお友達が何人か登場しますが、そのお友達のその後なども描かれています。
作中の「グレイト富山」先生が、実在の作家、
グレイス石川先生である事はもう説明の必要がないでしょう。作中では「タイへ移住」という設定になっていますが、
なんと本当にグレイス石川先生はタイに移住してしまったから驚きです。
(と言っても以前からそういう話は言ってましたが(笑))
そんなグレイス石川先生がキンドルなどの電子書籍で、タイでの出来事を綴ったマンガなどを発表していますので、どんな経緯でタイへ委譲したか知りたい方は是非読んでみてくださいね(笑)
■エロマンガ家マンガそれぞれに人生有り!
と、簡単ではありますが、3冊(+その他)を駆け足で紹介させていただきました。3冊ともエロマンガ家(予定も含め)という主人公を描いた話ではありますが、それぞれに魅力があり、笑いが有り、懐かしさ、虚しさ、そしてエロさが備わっています。
これだけ、一気にこのジャンルの本が出ることも少ないとは思いますので、是非とも読み比べて楽しんでいただければと思います!
あ、そうそう忘れていましたが、5月はもう1冊お勧めの本が…
| 「とうちゃんはいつも仕事場」(著:ぢたま某 発行:ワニブックス) | |
ぢたま某先生の、リアル家族エッセイマンガ「とうちゃんはいつも仕事場」も絶賛発売中です。カバーには、先生の仕事画の写真が掲載されているんですが、
以前エロマンガノゲンバでお邪魔したときよりも狭くなっているように感じるのは気のせいでしょうか?(笑) これから片付けると言っていたような〜〜〜