最近自分がmixiでレビューした「ツンデロ」というエロマンガでキーワードとした言葉が「アヘ顔」だった。
(著)武田弘光 コアマガジン
ただ自分でも「アヘ顔」という単語を自然に使ってしまっていて、よくよく考えてみるとこの「アヘ顔」についてよくわかってない部分があることに気づき、自分なりに調べてみた…
ただ「アヘ顔」に関しては、WebLab.otaさんがすでに
「アヘ顔の歴史」というコラムで詳しくのべているので、非常に参考になる。
WebLab.ota、さんも気づかれたいたが「アヘ顔」というジャンルが近年非常に目立った来た1つのエロマンガにおける表現であり、それ故、起源、歴史、人気の理由などが必然的に気になりはじめるわけだ(^_^;
現在の所「アヘ顔」厳密な定義はないが、傾向的にはいかの3点が挙げられる。(WebLab.otaさん定義より)
目が白目を剥いている
舌がだらしなく出ている
汁気がある(涙でも鼻水でも精液でも唾液でも)
ただ「語源」についてはいろいろ調べてみたが、確証の得られる情報は得られなかった。間寛平の「アヘアヘ」からきている、などの説もあるらしいが、どうも説得力がなく「アヘ」という言葉自体は昔からあるが「アヘ顔」となると、いつ誰が言い始めたのかはまだわからない。(もし知っているか違っていれば教えていただきたい)
それでは「アヘ顔」を最初に使い始めた作家は誰なのであろうか?
アヘ顔という1つの表現が目立ちはじめたのは、私の感覚でもここ数年の事だとは思う。その人気が高じて去年は「アヘ顔」オンリー同人誌
「A-H-E」が発行される勢いだ!
「アヘ顔」を調べると、いわゆるエロマンガの「イク」瞬間における「イキ顔」(アクメ顔とも言う)の変形、バリエーションとして発展している。しかし「アヘ顔」という名称が付く以前から、もちろんアヘ顔の表現はあった。なので、何が起源で誰がはじめに使い始めたというのは、定義も曖昧な上に非常に難しい。
最初に紹介した、武田弘光氏の「ツンデロ」内においての、模範的「アヘ顔」を見てみよう。
確かに、上目遣いで白目がち、舌を出していて、汁気が多いと、まさにアヘ顔である。しかも、アヘ顔と言う事を本人達が認識している部分も大きな特徴である。
このセリフから「アヘ顔」は恥ずかしい表情で、一種の辱めのプレイとして使われる事が1つの特徴があると考えられる。
■アヘ顔は何故リビドーをかき立てるのか?
そもそもアヘ顔とは、どういう状態(セックス)の時にでる顔であろうか?
個人的に感じたのは、白目をむくという点から、意識を失う一歩前の状態、気を失うほど気持ちいい! あるいは、あまりの興奮状態から自分を制御出来なくなる意識崩壊、の時の「顔」であると思う。それゆえ、顔全体の力が抜けてしまい、まさに「だらしない、下品」な顔のように見える訳である。
ただ、そういう「アヘ顔」でイクという場面は実際のAVでも、ほとんど見たことがないし、実際でもそんなに多くはないのではないだろうか?(こればっかりは統計が取れないのでわからない(^_^;)
ただ、個人的に感じたのは、いわゆる洋物のAVにおいては、アヘ顔というか、もうラリっている感じの表情をするポルノが多い気はする(あくまで個人的経験)。
これは、オープンなセックスというか、感じるときの表現を大げさにしがちな外国人特有のアヘであると言えよう。逆に日本は「恥じらい」という言うものを「美徳」「興奮」の要素としてとらえてきたポルノ文化があり、そういう意味であまり「アヘ顔」支持者が多く出ていなかったのではとも推測できる。(ニッチではあったが)
が、今その「アヘ」が支持されている背景には何があるのか?
武田弘光氏の「ツンデロ」的用法としての「こんなにだらしない顔をして感じているなんて、なんて下品な女なんだ!」という侮辱プレイ的用法、もしくは気を失うぐらい感じた!というより激しい快感度を表す手法としての「アヘ顔」の2つが考えられる。あと、3つめとしては「ネタ」であるが、これは最後に述べる。
■「イキ顔」としての「アヘ顔」
屈辱プレイ以外の「快感度」を表す手法としての「アヘ顔」を語る場合には、全体としての「イキ顔」の考察がどうしても必要である。
といっても、エロマンガにおける「イキ顔」の表現論などを書こうと思ったら、半年あっても足りないぐらい(^_^;
エロマンガ創世時から「イキ顔」は存在するわけで、その時代から考察などを始めたら、それだけで1冊の本になってしまう可能性がある(^_^;
なので、あくまで私の周りだけで気になった「イキ顔」を少し覗いてみようと思う。
私個人としては、アヘ顔ではないが、イキ顔が少し個性的だな!と思った作家が「月野定規」(♭37°C)であった。彼の作品を最初に読んだときには「アヘ顔」という名称は知らなかったが、いわゆる「変顔」という印象があり、この「変顔」がさらに変化して「アヘ顔」になったのではないだろうか?
月野定規氏の変顔は、今までに感じたことがない新しい「快感」としての表現として「変顔」が特徴付けられた感じがし、と同時に、それほどすごい感覚なのか?という印象を読者に与えたという意味で、非常に新鮮であった。
鳴子ハナハル氏の「少女マテリアル」の一場面である。
去年ブレイクした「マテリアル」ではあるが、彼の「イキ顔」は基本的にはスタンダードな「震え顔」で「静」と「動」でいうならば「静」系のイキ顔である。おとなしめの少女ならではの、恥ずかしく困り顔っぽい部分が興奮を誘う。
世徒ゆうき氏の「ストリンジェンド」のイキ場面。
もちろん、いろんなイキ方があるが、ここではこれ以上止まれない「硬直型」のイキ場面。この場合イキ顔も、硬直したような引きつった顔になる場合が多い。
去年ブレイクした中でもかなり上位に付けた、レオパルド氏の「ふたり嫁」の一場面。多少「アヘ顔」っぽいが、ぎりぎり「泣きイキ顔」ではないだろうか?
号泣ではないが、イキ顔は基本少し泣いている状態が多い。この涙は「レイプ」でなければ基本的には、感情の高揚から来る「気持ち泣き」だと思われる。
上が、井ノ本リカ子氏の「ア・マイ・スイーツ」で、下が、BENNY'S氏の「もえねえ」の一場面(わ、わかりにくい…(^_^;)
女性作家らしく、イキ顔には特に気合いを入れるというか、いろいろなバリエーションがあるが、非常に現実的な表情で「恥ずかしイキ」と「喜びイキ」をかわいらしく表している。
しかし、個人的に最近のベストオブ「イキ顔」は竹村雪秀氏の「TAKE ON ME 2」のこの場面である。
これだけでは、何のことかわからないが、イクと当時に彼氏の存在の本当の大事さに気づき、かつ同時に離れる事の不安を感じるシーンである。
本当は2ページぶち抜きでの「イキ場面」なのであるが、イクという感情で、ここまで深く見せる「画力」「説得力」に脱帽した…。
とま〜イキ方にもいろいろあるわけで、もちろんほんの一部の紹介だ。
あ、誤解しないでほしいが「何々型」と勝手に名称を付けているが、これは私の勝手な名称で、正式ではない(^_^;
このように、イクときの感情、気持ち、快感などをどう表そうかという作家の工夫が、いろいろに変化し、その中で「アヘ顔」が生まれ支持を受けると言う状態になっていることは確かだ。
現実ではめったに見ることのできない「アヘ顔」に新しいドリームや性癖を見いだしているのが、エロマンガファンなのかもしれない。
■「アヘ顔」は官能表現だけではない
アヘ顔を調べると、アヘ顔というものがエロという分野で発展した文化ではないと言うこともわかる。一番のきっかけはこれではないだろうか?
これは、pixvで発表された1枚である。マクロスFの「ランカ・リー」を思いっきりデフォルメして、アヘ顔というよりは「アホ顔」にした作品が妙に受け、それ以降この絵がテンプレートになり、俗に「アヘ顔菌に感染した絵」としてどんどん亜流作品が増えたわけだ。
すなわち「アヘ顔」というのは「イキ顔」の一部と言うよりは「変顔」の一部であり、元のキャラとのギャップを楽しむパロディー同人としての側面も持つのだ。
これが、アヘ顔の3番目の特徴と言っていいだろう。というよりは、こっちの方で「アヘ顔」を知った人の方が多いのではないだろうか? このブレイクが、ある意味エロの方にも飛び火したというのが、実のところ去年のアヘ顔ブームだったんではないだろうか?と私は推測する。
最後に、アニメにおける「アヘ顔」といえば、むらかみてるあき氏を忘れてはいけない。
彼のアニメの特徴は「アヘ顔」と「高速ピストン」と呼ばれ、エロアニメファンに高く評価されている。こういう良質な作品がより「アヘ顔」ファン、フェチを増やしてきたのかもしれない。