けろりん先生 インタビュー
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コミケ報告、コミティア、コミトレ

2013
西安先生 インタビュー
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「気を大きくするために少々お酒を入れたいので、お酒が呑めて個室であれば、インタビューOKですよ~」と西安先生が言ったので、今日は吞みインタビュー記念日。

 ゲストの方が一番リラックスしていただける環境をセッティングするのも、インタビュアーの大事なお仕事!
でも、半分は「吞んだ勢いで、ヤバイお話も聞けたりしちゃって…」という邪心があったとか、なかったとか(笑)

 昼から完全な個室は用意できなかったが、午後1時からの客なんて僕らしかいないという、ある意味完全貸切状態で始まった、ゲンバ初の吞みインタビュー! 西安先生はインタビュー開始から、まるで自分のエネルギーであるかのようにアルコールを消費し、酔拳のごとく吞めば吞むほど饒舌に、そしてハイテンションに語り続けた。これは、その時のドキュメントである!刮目して読むべし!!

今回は、西安先生直々の挿絵で記事をお楽しみ下さい!

お店に行ったら、まだ開いていなく場所がわからなかった(^_^; (入り口に店名が書いてある)

ゲストプロフィール
西安(にしいおり)
広島から上京し、ゲームソフト会社の「ウルフチーム」に就職。その後、紆余曲折あり、1994年「コミック ウェイク」(メディアックス)「超キャプテンRASCAL」でマンガデビュー。自分がOKなら何でも許す!という理念から、幼女から熟女、そして美少年?まで、幅広いジャンルで活躍。妄想が趣味で、時間があればよく江ノ島方面へ出かける。

■とりあえずビール(=゚ω゚)ノ

稀見:今日今日は先生たってのご希望で、エロマンガノゲンバ史上初の居酒屋で呑みながらインタビューを行うという、はたして話したことを覚えているのか?
ぶっちゃけすぎトークになってしまうのではないかというリスクの高いインタビューで進行させていただきます(^_^;

今日はよろしくお願いいたします。<(_ _)>
西安:よろしくお願いいたします! とりあえずビール!(と、居酒屋のおねーちゃんを呼ぶ)
稀見:今日は、居酒屋インタビューでかつ昼呑みという事で、昼から開いている居酒屋を探したんですが、来てみたらお店が開いていないというトラップにはまりましたね(笑)
西安:いや~びっくりしましたよね、お店がなくて(笑) でもネタになった??(笑)
稀見:予約がある時だけ昼からやっているそうです。でも、予約したんだからその時間より前には来て開けておいてほしかったですが(^_^;

というわけで、呑みインタビューどうなるかわかりませんが、何とか無事スタートです。

今日は、エロマンガノゲンバのアシスタント、表紙やカットを描いてもらっている「枝空」ちゃんにも来てもらっていますが、なんと彼女が人生で一番最初に買ったエロ小説が、先生が挿絵を描かれた「ぷりんせす★でんじゃあ(メディアックス)」だったんですよ!ヽ(*°ω°)ノ
西安:そりゃ~~大変な人生ですね(^_^;
枝空:本屋で「なんだこのカワイイ表紙は!!ヽ(*°ω°)ノ」って思って、何度もチラ見して…。

「ぷりんせす・でんじゃあ」(すたじお実験室)


「ぷりんせす・でんじゃあ」内の挿絵


西安:この頃はまだコピックが出始めの頃で、いろんな作家さんもこれで描いていた時期だったかな?

僕は結局3、4年ぐらいコピックで描いていましたね。94、95年あたりからデジタル、PhotoShopあたりのソフトで描くという流れが出始めた頃だったんですが、その前の端境期にコピックとかガッシュとかのアクリル系のカラーインクとかいろんな画材で描いていた時期だと思います。この本は懐かしいですね~(^_^;

いや、僕も持っているハズなんですが、もう10年以上見てないです(笑)
稀見:発掘が必要ですね(^_^;
西安:この中の絵の話をしたらめっちゃくちゃですよ!
枝空:聞きたい!!
西安:中の絵はたぶん、2、3日で描いたとおもいます。
(注:結構な枚数がある)
枝空:えええええぇぇぇ!!
西安:いや~~もう人数集めて突貫作業ですよ! 表紙は肌の部分はアニメカラーで他の部分がコピックで描いていますね。挿絵のグレーはコピックかな?
あんまり行かないんですが、飲み会とかに出かけた時に、昔の本を読みました!!と言う方に会うんですが、そのたびに、人生狂わせた~!というか、間違った考えをさせてしまったみたいな感じになって申し訳ないです(^_^;
枝空:いえいえいえいえ!(;゚∀゚)=3


■面接までの数日間で必死になってスケッチブックに描き殴りました

稀見:デビューのきっかけを教えていただきたいんですが、先生の場合どこをデビューとするか結構難しいので、ま~大雑把に学生の頃からどう活動されてきたかという部分をまずお聞かせください。
確か、先生は専門学校に入ってすぐに退学されたと伺ったんですが(^_^;
西安:そうそうそう。東京アニメーター学院ですね(^_^;
まず、田舎の話なんですが、あ田舎は広島なんですが…。広島でオタクっぽい職場はコンパイルぐらいしか無かった&知らなかったんですよ。調度「ぷよぷよ」が出始めた頃だったかな?
でも、それでも小さい会社だったので、絵で食っていこうと思ったら東京に出るしかなかったんです。上京するために親を説得する材料として「東京アニメーター学院」を利用したんです。
稀見:東京に何しに行くんだ!? と言う時の理由(専門学校に入る)がほしかった?
西安:そうです。アニメ雑誌の裏に載っている広告を見せるんですよ(^_^;
「ここに入りたいんだ!!」って。僕は当時はとにかく落書き魔で、なんにでも、教科書とかに絵を描いていたんですが、それでやっぱり絵を描く仕事がしたくて、絵を描くなら東京だろうと! そういう発想しかなかったんです。そのいい訳として、専門学校を見つけた感じですね。

で、東京に来て学校に行ったんです。そしたら、いろんな人がいるんです。モヒカンのお兄ちゃんから、どう見ても主婦の人とか(^_^;
稀見:た、確かにいろんな人ですね(;゚∀゚)=3
西安:いや~今から思えば、もっと通っておけば面白かったかもと思うことはありますが、当時はかなりのカルチャーショックというか、衝撃を受けましたね。で、親からしばらくの間(数か月分)の家賃は払ってやるけど、その後のことは自分でなんとかしなさい!と厳命されていたので(笑)

その頃調度出始めた「フロムA」を読んでいたら、絵関係の仕事がいくつかあったんです。その時に候補にしたのが、高度なデザイン能力が必要なデザイン事務所、エルフ、ウルフチームという会社だったんです。
稀見:募集されていた業種はなんだったんですか?
西安:エルフとウルフチームはグラフィッカーでしたね。絵に関する仕事でスキルアップできるならと思って応募しました。でも、本当になりたかったのはマンガ家だったんです(^_^;

マンガ家になるルートは、持ち込みとかが主流で、まだコミケでの青田買いとかがあまりなかった時代でしたが、自分にはまだ持ち込み自体は無謀だと思っていたので、かといって仕事もせずに家でマンガを描いている暇も金も無いと…。
なので、稼ぎながらスキルアップできそうな、という意味で仕事を探しました。

で、エルフは、ま~えっち方面な会社ですよね(^_^; で、親に報告しなきゃいけない、なんて事を考えたら難しいと思って、ウルフチームにグラフィッカーとして雇ってもらいました。
稀見:そんな、エルフとか親に言ってもわからなかったんじゃないですか?
西安:いや~まだ右も左もわからないウブな少年でしたから(笑)
稀見:今聞いて思ったんですが、最初からマンガ家志望だったんですか?
経歴からてっきり最初はゲーム業界を志していたように感じていました。
西安:そうですね~~一応ですね。出てきたばっかりでしたから、漠然とはしていましたけど、なれればいいな~~というレベルですけど(^_^;

で、ウルフチームというゲーム会社での仕事が決まって、ここでは学びながらお金が稼げる! という情況が出来たんです。そんな情況ですから、お金を払いながら学ぶ事がもったいないな~って思って、2回学校に出ただけでその後行かなくなったんです(^_^;
稀見:でも、入学金は帰ってこないんですよね(^_^;
西安:はい!でも、頑張って親に返しました!
稀見:(;゚∀゚)=3 偉すぎます!!!
西安:(お店のおねーさんに)すいませ~~ん、ハイボールお願いしま~す!!(*゚▽゚)ノ

で、学校に行かなくなったんですが、そしたら学校の方から親に連絡が行ったんです。
稀見:(;゚∀゚)=3 完全にバレましたね…。
西安:「どうなってんだ!!(`Д´) 」「す、すいません~~<(_ _)>」ですよ(^_^;
稀見:ちなみに、ウルフチームの採用試験みたいのはあったんですか?
西安:絵を何点か持ってきてください、というのと面接ですね。でも、人に見せる絵なんか一枚も持ってなかったので、面接までの数日間で必死になってスケッチブックに描き殴りました。
稀見:でも、それでめでたく採用となったんですよね?
という事は、やっぱり学校に行く必要はなかったんでは?(笑)
もう既に、そのレベルまでは達していたんですよ(^_^;
西安:決まって、明日から来て下さい、とは言われましたね。時代もあったんだとは思います、人手も足りてませんでしたからね(^_^;
稀見:大きなソフトハウスも多くあって、且つ小さいのもたくさん増えていた時期ですよね~。
西安:バブル的にはもう収束時期だったんですけど、ゲーム業界はワンテンポ遅れていたんですよね~。まだまだ景気が良かったんです。

でも、仕事自体を学ぼうというよりは、オタク業界の空気というか、雰囲気を学ぼうというイメージでしたね。そこで最初はグラフィッカーをやっていたんですけど、今で言うと「ドッター」というやつですね。マウスでトントントントントントンって(^_^;
稀見:やっぱりそこは通る道なんですね(;゚∀゚)=3
西安:あれは手を痛めましたね(^_^; 結局丸2年ぐらい居たんですけど、後半は人員を減らす的な状況になってきまして…、92、93年あたりですかね~。当時パチンコとかがデジタル化し始めた頃で、ゲーム会社が下請けとしてパチンコやスロットとかの画面を作るという仕事があったんです。なので、今までゲームがメインだった仕事がパチンコに変わってしまったんで、スタッフの士気も若干下がりつつ、かつ人員を減らしつつで依願退職者を募集していたんです。

そこで、仲間数人で「新しい会社を作ろうぜ」という感じで集まって会社を辞めて立ち上げたのが「すたじお実験室」というグループだったんです。会社を辞めた人間だけではないんですが、メインはそうでした。
稀見:「俺たちの志すゲームを作ろう!」みたいな?
西安:と言っても少人数でしたし、最初は何でも屋でしたね。でも、18禁ゲームは、こう言うと変ですが、当時はあまり資金がなくても同人のりでガッツがあれば力技で作れたので、PC98のゲームとか(^_^;

なので、それがメインで、もう一つは絵で仕事を進めていく絵部門の2つの事務所がありましたね。僕は「絵部門」の方に居ました。そこで「ぷりんせす★でんじゃあ」みたいなゲームを作っていたんですね。
稀見:ということは、これは会社の方針でマルチメディア展開のような感じで作られた?
西安:当時は多かったとは思います。で、「すたじお実験室」での仕事は、原画の仕事と他に角川さんの方、と言っても当時の「角川書店のコンプRPG」の方で、「ガープス」というTRPGのシステムを利用した「リング★ドリーム」という女子プロレスのゲームの挿絵を描いていたんです。
稀見:そのお仕事は、どういうきっかけで描くことになったんですか?
西安:いや~~それは、本当に単純に「頼む!」って言われたからですね(笑)

ディレクター的な事をやっていたやつが、いろんな所に企画書を出していたんです。で、その企画が通ったんでしょうね。その中に「ぷりんせす★でんじゃあ」や「リング★ドリーム」があったので、絵のプロ仕事として依頼されたのは、それが初めてになるでしょうね!
稀見:では、マンガだと「ブリザードYuki」(角川書店)が最初ですか?
西安:いや、マンガの仕事としては2番目ですね。最初は「ウェイク!(パソコンパラダイス増刊)」(メディアックス)で描いた「超キャプテンRASCAL」ですね。
稀見:おおぉ~ということは、デビューマンガはエロだったんですね!
でも、確か単行本は未収録ですよね?
西安:そうですね。その次のシリーズはなりましたが、最初のはなってなかったと思います。確か4、5話ぐらい描いたんですが、調度この時に「ブリザードYuki」の仕事が被って、両立できなかったんですよ。今はもう一般誌は難しいとは思うんですが、当時はまだ一般誌に「夢」を持っていたんです(^_^;
稀見:「 ウェイク!」はエロマンガですが、「ブリザードYuki」は角川の一般誌ですからね!

「ガープス・リング★ドリーム」


「ブリザードYuki」(角川書店)


「ウェイク!」(メディアックス)


西安:一般誌に対する憧れもあったり、自分がどこまで出来るのか?!という意識もあって、エロの方には申し訳なかったですが、挑戦したかったので、編集さんを拝み倒して「ブリザードYuki」の方に専念することにしたんです。

でも、結局1年で廃人のようになってしまうんです(^_^; 
「俺には無理だ~~!!*o_ _)oバタッ」(笑)
稀見:そ、そんなにダメージが(;゚∀゚)=3
西安:で、帰ってきて描いたのが「玉砕学園」(メディアックス)ですね。パソコンパラダイスの巻末マンガでしたね。でも、もうはっきり言ってこの辺はぐっちゃぐちゃで、自分でもよくわからないんですよ(^_^;
稀見:確かに、この辺は凄く慌ただしいというか…。

「玉砕学園」(メディアックス)



■もう自律神経がおかしくなるんです…

稀見:あ、そうだ、ちょうど話も被っているので、ペンネームの話をお伺いしていいですか?
まず、このデビュー当時のごちゃごちゃしている時期に、2つのペンネーム「安西真(あんざいまこと)」「西安」を使っていますよね? どういう流れで、どう使っていたのか? そして、最大の謎、どうしてこれで「にしいおり」なのか!教えていただけますか?(^_^;
西安:まず、昔は凄いミリタリー、サバゲー少年だったんで、自分たちの会報みたいのを出していたんですよ~。
そこで描いていたペンネームが「アサシン」という名前だったんです。
稀見:「暗殺者=アサシン」ですね(`・ω・´)
西安:その「アサシン」に漢字を当てて「安佐真」と、したんです。で、その後エロ無しのペンネームを使う時に、「安佐真」を少し変えて「安西真」にして使うようになったんです。

で、じゃエロの方は、この名前をひっくり返した名前にしようと…。この名前、普通に読むと「せいあん」と読めるじゃないですか、中国の都市の…。
稀見:そうなんですよ、だから検索がなかなかヒットしなくて…。アマゾンでも最初に出てくるのは「地球の歩き方」ばかりですよ(笑)
西安:いや~もちろん、当時は検索の事なんて頭になかったですから(^_^;
でも、当時から自分の中でも、この名前だと混乱するんじゃないかなとは思っていました(笑)
稀見:やっぱり思ってたんですね(笑)
西安:で、何故この名前になったかというと、ペンネームを伝える時に、当時FAXも使わずに、電話口だけで伝えたのが原因なんです。実は最初「にしいおり=西庵」だったんです。
(注:庵=いおり、と読む)でも、そこで齟齬(そご)があって、西安で「にしいおり」と読ませるんだなと、解釈されたんです!
稀見:なるほど~、安西を反転させたというのを、そのまま解釈されちゃったんでしょうかね?
西安:でも、この時僕は若かったんです!! 中二病だったんです(笑)
じゃ、これでそう読ませてやろうじゃないか的な気持ちで特に直さなかったんですね(^_^;
始めたばかりだったし、2回目からまた名前を変えるのもなんだった、というのもありますが…。
稀見:これは初めて聞きました!
なんと、完全に勘違いから生まれたペンネームだったんですね!!(;゚∀゚)=3

確かに、初見で「にしいおり」と読める人は少なさそうです。コミケとかで「せいあん先生いらっしゃいますか?」とか言われませんか?
西安:いますいます! でも、僕としてはどちらも正解というか、あまりもうこだわっていません(^_^; ま~でも、この業界、一発で読める作家さんあまり居なかったりするので(笑)
枝空:す、すみません…(^_^; (注:これで「えだら」と読む)
稀見:実例がすぐ近くにいた(笑)
すいません、話が戻りますが「ブリザードYuki」を描いた頃は、どのくらいのペースで描かれていたんですか?
西安:僕は集中力が働く時は強烈に働くんですが、だいたい短いんです(^_^;
スイッチが入って、集中して描き続けられるページ数がエロマンガでは16Pなんです。その時は完全に視野狭窄になっています! でも、一般商業誌だと月刊で32Pぐらいなんですよ。

これが、もうダメでダメで(^_^; というのも、日々朝10時に起きて、何時から仕事して何時に終わって、というペースを毎日続けられればいいんでしょうけど、それができないので、連載に入ったらマンガ漬けになってボロボロになっていましたね。
もう連載後半あたりは凄かったです。もう何日も寝てなくて。
で、寝ないと急に涙がボロボロ溢れ出したり、よだれがダラーって落ちたり、もう自律神経がおかしくなるんです…。



稀見:(||゚Д゚)ヒィィィ!
西安:で、この連載が終わる時担当の人が「これで終わりますが、僕はこれで異動になりますので…」って言われた時は、「どうもすいません…」って、ありがとうございます的な意味合いも込めてですが、言いましたね(^_^;
どうやら、盆栽・園芸系の雑誌に異動になったそうです、ほんと悪い事したな~と。
稀見:で、一般誌で玉砕して、エロに戻って「玉砕学園」を描く羽目に(笑)
西安:(笑) でも、エロって何でもOKなんですよ。
ま~一緒にお仕事をさせていただいた編集さんにもよるとは思いますが(^_^;
この頃はまだ少なかったと思うんですが「近親相姦」ものとかも描けましたしね~。
稀見:エロさえあれば、何を描いてもいい!という時代でしたね、特に90年代中期頃までは。
西安:僕は、なんて言ったらいいのか難しいんですが、日常の中にある「非日常」的なネタが好きなんです。スラップスティックというか…。
稀見:それは後書きとかでも何度か書かれていましたね? あと重要なのが「ギャップ」だとか?
西安:「ギャップ」は僕にとって、ずーっと重要なテーマですね!
全然違う感性のヤツらが同じ場所にいる、というのがなんか好きですね~。年だの立場だの性別もそうですし、そういういろんな人がそこに揃っているという。

さらに、それでいて作品世界ではそれが不自然でないという世界を創るというのが好きですね~。だから、キャラクター自体を創るより、そういうヤツらが居る世界を創るほうが好きですね!


■女性の前では言いづらいんですが、僕は興奮しないと描けないんです…

西安:西安:あと、僕は妄想狂なんです! 下手をすればリアルな世界を捨ててしまうほど妄想にふけるのが好きなんですが、それでよく鎌倉に行くんです。
稀見:鎌倉で妄想?
西安:鎌倉というか、三浦半島ですね。三浦半島が大好きなんです!
稀見:三浦半島のどの辺りですか?
西安:西側が拝める方面です!
稀見:佐島、逗子、葉山あたりですかね?
西安:ああ~いいですね! 一番先っぽ、え~~と、なんでしたっけ、あああ~好きなのに名前が出てこない!酒のせいか(笑)
稀見:城ヶ島?
西安:そう、城ヶ島。城ヶ島から江ノ島までの三浦半島の西側ですね(^_^;
江ノ島はよく行きます、1人で! 江ノ島を望める砂浜の、段々になっているところでよく妄想します!



僕は広島に住んでいたんですけど、目の前が宮島で瀬戸内海ですから島がたくさんあるんです。なので、水平線というのを見たことがなかったんですよ~。だけど、江ノ島あたりに行くと水平線が見えるんですよヽ(*°ω°)ノ ああいう場所で考えにふけるというのは快感なんです!

でも、東京に20年も居る割りには、関東のこと全然知らないので、最近はいろんな所に出かけて、妄想ポイントを増やしています(^_^;

いや~三浦半島いいですね!って、元はなんの話でしたっけ??(^_^;
稀見:妄想が好き!その前は何でしたっけ?

ま、妄想も仕事も集中型なのはわかりましたね(笑)
さっき、仕事はもの凄く集中すると言われましたが、それは作画の時だけですか、それともプロットの段階からなんですか?
西安:女性の前では言いづらいんですが、僕は興奮しないと描けないんですよ!

要するにおちんちんが勃たないとダメなんです! まずは、ネタになる写真とかいろんなものを観るんです。それで自分を盛り上げるだけ盛り上げて! 他の作家さんでは、話の主人公に自分を投影して興奮するみたいな方が多いと思うんですけど、例えばハーレムものだったら、女の子に囲まれてちやほやされるという情況を投影するみたいな…。でも、僕はそれがないんですよ!

僕のエッチなマンガの楽しみ方って、まずグッとくる一コマがあって、それから妄想が広がるか!?なんです。なので、主人公になりきって興奮するって事はまずないんです。自分のお好みのシーンがあって、そこでさらに広がるか!
稀見:お気に入りのシチュエーションがあって、その前後を妄想して広げていくんですね!
西安:そうですね。自分にとっては、それが広がるかどうかが重要なんです。あるシーンがあって、この流れでこのキャラだったら、俺ならこうする!と出来るのが「良い作品」なんです!
なので、その良い作品の元になるネタをいろいろネットとかで探すんです。
稀見:その最初の一場面が決まるまでって、だいたいどのくらいかかるんですか?
西安:それはものによりますね(^_^; 来る時は、ほんと一瞬で来ますからね。難産の時は、自分はこれで良しと思っても、他人から見たらわからん!というのが多いですね(笑)
稀見:じゃ、妄想時点から決まったら、もう集中モードで一気にという感じですか?
西安:そうです、そうじゃないと体力が持たないんです(笑)
どんな仕事でも、ま、最初単位が6Pぐらいなんですけど、それが16Pでもあまり体力の消耗に違いはないですね。8Pとかでもエロマンガだと、その分凝縮させてエロくしないとダメじゃないですか? でも、最近のエロマンガってページ数が増えてきてますよね?
稀見:そうですね。あまり縛りというものが無くなってきたとは思いますね。
西安:20P超えとかは普通で、30P超えとかも見るようになりましたね。昔は16Pとかが基本だったと思うんですが…。

で、さっき「ギャップ」が好きだって言いましたが、「ギャップ」を魅せるにはページ数が多い方がいいんです。何故かというと「ギャップ」が一番活きるためには、○○しそうにない人が○○してる!というシチュエーションが必要なんです。堅そうな生活をしている先生が実は乱れているとか…。一番僕が興奮するのが、まったく何年もそういうそぶりがない人間の全く違う側面が現れる時なんです。それが、ポンと現れる瞬間に衝撃を受けるんです。

そういうのをエロマンガでうまく表現するには16Pだとちょっと難しいんです。でも、そう言っても連載ものは苦手なんです(^_^;
稀見:でも、「ハナエ食堂」ではやってましたし、たまに描きますよね?

「ハナエ食堂」はドタバタコメディ要素が…


西安:ああ~でも、あれは特別なんです(^_^; 僕80年代のエロコメが大好きなんです。

「やるっきゃ騎士」(著:みやすのんき)とか「Oh!透明人間」(著:中西やすひろ)とか! ああいうのをエロマンガでやれないかな~って、軽い気持ちでやったんですよ!

でも、やってみて解ったんですが、あのテイストをエロマンガでやるのは難しい!
あのエロさって、一般誌のエッチなシーンだから来る!というのがあるんです。あのマンガではパンチラがもの凄くエッチなんです! でも、エロマンガでパンチラやっても「何それ?」なんですよ~(^_^;

「やるっきゃ騎士」(著:みやすのんき)


「Oh!透明人間」(著:中西やすひろ)


稀見:エロの基準点がエロマンガって最初から高いですからね~(笑) 一般は服を着た段階からパンチラ、パン脱ぎへと段階を落としますが、エロマンガだと逆に上げる感じですからね(^_^;
西安:あとエロマンガだと、どんなに淑女で清楚な女性が出てきても読者は「この子はエッチする子なんだ!」って思い込んじゃうんですよ~。だから「ギャップ」を作りづらい!
稀見:もう読者に擦り込みがあるので、逆にどうそのギャップを克服させるかというのが、エロマンガにおける課題になるわけですね!
西安:なので、それをどう創るかというと、続きものがいいんですけど、僕はそれが出来ない。
ま~前・中・後編ぐらいが限界ですね。
稀見:でも「ハナエ食堂」は9話もありますよ(笑)
あ、でも後書きに「辛かった」とも書いてありますね(^_^;
西安:そうなんですよ~(笑)


■ふくらはぎと足首なんです。それは今に通じていて僕は凄く足フェチなんです!

西安:自分の中で、一番「エロ」だと思うのはフェチズムだと思うんです。本人にしかわからないこだわりがあったりして、いや~なんて言っていいのか、こういうのって言葉で説明するのは難しいですね(^_^; 自分は、全くエロじゃない世界(エロを目的としていないメディア、その他)でエロを感じることが多々あるんです。
稀見:いや~~それは妄想師として当然の行為、レベルの高い行為だと思いますよ!
ちょっとここでお聞きしたいのですが、妄想師として小さい頃からどのように「自分の妄想」を積み上げてきたんですか?
西安:さっき、10代の頃ハマった作家さんとかを言いましたが、さらにその原点を言うとすれば、僕は「藤子・F・不二雄」先生だと思うんですよ。
稀見:確かに、AよりはFですよね!
西安:ま、当時はF・Aの区別はありませんでしたが…。で、多くの方は、しずかちゃんの裸シーンをあげると思うんですが、僕は違うんですよ! 僕は「ふくらはぎ」なんです!
稀見:ふくらはぎ!!(;゚∀゚)=3
西安:ふくらはぎと足首なんです。それは今に通じていて、僕は凄く足フェチなんです(^_^; 普通、足方面に行くのって年をとってからのフェチなんですよ、最初はやっぱり胸に行きますからね。で、F先生がマンガの中で「女性性」を出したいシーンなんかは必ず、足首が締まって、ふくらはぎがプクッとふくれるんです。

「ドラえもん 37巻」より、このふくらはぎが!?


あ、あくまで僕が感じた「女性性」を出そうとしているシーンですよ(^_^; 世間の評論家がどう言っているは知りませんが。ロングではデフォルメされた、一直線の足を描かれるんですが、僕が感じる「女性性」を出したい部分では、そうなっていると僕は思ったんです!!
稀見:作品で言うと「ドラえもん」なんですか?
西安:そうです! ほとんどの作品を読んでいましたが、やっぱりドラえもんですかね。小さい頃に僕に性的な部分で一番影響を与えたのは、確実に「藤子・F・不二雄」先生だと思いますね。
稀見:今までいろんな先生にお話を伺いましたが、かなりのハイレベルなエロ感性じゃないかと思います!
西安:ふくらはぎから足首にいたるラインの美しさは、F先生自身かなり意識していたんではないかと僕は思うんですよ(^_^;

僕の持論で、たとえ幼年向けのマンガ、コロコロ、ボンボン、小学○年生とかでも、エロティシズムがないと評価されないというのが僕の持論なんです!

永井豪先生のようなストレートな表現の作家さんももちろんいますが、F先生はうまく隠すというか、セクシャルな部分を目立たさないけど、しっかり伝えていたというか…。
稀見:わかります、わかります。サブリミナル効果じゃないですが、F先生は幼年期の読者にセクシャル、もっと言えばフェチというものが何であるかということを教えてくれていたんだと思います。それが「確信犯」であったという評論家の方も多いですよ。
西安:80年代に入ってからは、あれ?あれは何年だったっけ「やるっきゃ騎士」(著:みやすのんき)は、最初に衝撃を受けた「エロコメ」でしたね。あ、さっきも言いましたね。
稀見:「やるっきゃ騎士」は81年からですね。
西安:エロコメだと、「いずみちゃん グラフィティー」の金井たつお先生、そして「ホールドアップ☆キッズ」の小谷憲一先生とかですかね?

「いずみちゃんグラフティー」(著:金井たつお)


「ホールドアップキッズ」(著:小谷憲一)


アニメだと「荒木伸吾(あらきしんご)」さんですね。え~キャラクターデザインですね。
『グレンダイザー』、『魔女っ子メグちゃん』、『聖闘士星矢』とかですね。とにかく女性の美しさというのを認識させられたのは、あの人の影響が大きいですね。グレンダイザーの「グレース・マリア・フリード」はエロかったですね~(^_^; 今いたら「萌」だな~~って!

「グレンダイザーのグレース・マリア・フリード


「魔女っ子メグちゃん」のメグ


稀見:「萌」という言葉はなかったですけどね~。でも、わかります。
西安:94、5年あたりだったと思いますね「萌」という言葉を認識したのは。最初は「燃」だと思ってたんですが(^_^; でも、あくまで言葉が出来ただけで、感覚的には昔からあったものだとは思います。でも、説明するのは難しいですよね、「性欲」に結び付いていないかと言えば、結び付くところもあるんですが、そうじゃないところもあるんですよね。
なかなか定義するのは難しいですよね。
稀見:萌=かわいい、と言う単純なものではないと思います。性的な部分は確かにあるんですが、それだけじゃないという部分が非常に説明しにくい部分ですよね(^_^;
西安:定義で思い出したんですが、最近は「定義」に関して厳格じゃないですか?
僕は「少年」もいけるんですが…。
枝空:いけるんですか!(;゚∀゚)=3
西安:いや~~バンバンですよ!!
僕の「エロス」の定義なんですが、「僕が許すか許さないか!」なんです、最終的には。ほんと、僕が許せば、石でも木でもいいんです(笑)

で、最近はプレイに関しても、幅を持たせたりする、少し違うプレイを入れたりすると、ネットの人たちが騒ぐじゃないですか(^_^;
面白いんですが、今「男の娘」というジャンルがあるじゃないですか? 男性性というか、男性の骨格を残しつつも、女性の格好をして恥じらいを出すのがGOOD!という人もいれば、完全に女性の骨格をしているのに、アイテムとしての股間(チンコ)が付いているのがGOOD!という人もいるんですが、ネットでスレッドなどが立つと、同じ名前のジャンルなのに、怒る人と支持する人が出てくる 。昔よりはるかに細分化されていますよね~(^_^;
稀見:細分化することは別にいいんですけど、自分の趣味じゃないジャンルを攻撃したり、排除したりはしないでほしいですよね(^_^; 商店街のにようにいろんなお店を楽しんでほしいですよね~。
西安:僕も、僕が許せば問題ないんですが、描いていて食えなくなれば、そのジャンルはやめると思います。でも今はこういうファジーな世界で作品が描けるので、本当にエロマンガの世界は素晴らしいと思いますね!
稀見:そうですね! エロマンガのジャンルがいろいろ規制があるとはいえ、一番表現の幅が広いジャンルだとは思いますね(`・ω・´)


■本当に最初はびっくりしたんです!

西安:いつもびっくりするんですが、コミケとかで同人誌を売ってるじゃないですか~。かなりきわどい、しかもロリっぽい奴ですよ。そんな僕の所に、ある程度毎回買いに来てくれる女性がいるんですよ!ヽ(*°ω°)ノ
稀見:それは純粋に先生のファンなのでは?
西安:声援をいただいたり、お菓子の差し入れをいただいたりするんですが、本当に最初はびっくりしたんです。売っている本は、いわば「男の一方的な歪んだ妄想の塊」じゃないですか?(^_^; だから、こういう女性が興味を持ってくれるなんて信じられなくて…。
それは、今でも不思議だな~って思います。
稀見:じゃ、逆に聞いてみるのはいかがでしょうか?
「僕の作品のどのあたりが好きなんでしょうか?」とか?
西安:理由を聞く場所としては、即売会の会場じゃタイミングが短いような…(^_^;

でも、そういう理由を聞ける機会がありましたら、是非聞いてみたいですよね。例えばこういう居酒屋で、「ああ!!キミは会場に来てくれたあの娘!!」みたいな状況があったら(笑)
稀見:純粋に誘ってみたらどうですか(*´∇`*)
西安:いや~~この業界だと、ファンの子に手を出すなどの醜い話を聞いたり聞かなかったり(笑)
稀見:いやいや、そんな下心全開じゃなくていいんですよ(笑) 普通に、ファンとして意見を聞かせてもらう会として開けば(笑)

是非女性ファンの方は感想を!!!


と、ブログではここまでです! 今回のコミケ(C84)でも、先生のサークルは参加いたしますので、是非先生のファンの女子の方は、直接先生に感想をいってあげて下さい(笑)

このインタビュー後、そのまま同じ場所で、打ち上げ飲み会が開催されました。
多くの作家さんが参加されたんですが、席移動などを行っているうちに、なんと先生の席の周りがすべて女性作家さんという「ハーレム」状態!!ヽ(*°ω°)ノ
ただでさえ酔ってご機嫌の先生がかなりヒートアップ! 高校時代の「ホモォ!」な告白を(笑)(というか、そういう大事なことはインタビュー中に言ってくださいよ(^_^;)

なので、レポートマンガでその様子は詳しく(笑)

インタビューが行われた居酒屋。左奥が西安先生



■西安単行本!



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エロマンガノゲンバ Vol.8
2013年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • 西安
  • けろりん
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今回のインタビューの完全版は、新刊「エロマンガノゲンバ Vol.8」に収録されています。ご興味のある方は、是非コミケ、もしくは委託書店へ!


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エロマンガノゲンバ Vol.7
2012年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
  • たべ・こーじ
  • クジラックス
  • サブスカ
その他の現場!
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「COMIC ZIN」さん「とらのあな」さんで委託中です。
COMIC ZIN とらのあな
※ 書店委託は、定価より若干高めになります。

エロマンガノゲンバ Vol.6
2012年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
インタビュー特集!
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エロマンガノゲンバ Vol.5
2011年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
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エロマンガノゲンバ Vol.4
2010年12月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
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エロマンガノゲンバ Vol.3
2010年8月発行 140P 1,000円 (画像をクリックすると詳細が見れるよ!)
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