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2011
鬼ノ仁先生 インタビュー
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インタビューを行う場所は、貸し会議室かカラオケボックスを利用することがほとんどだったんですが、今回は特別に、鬼ノ仁先生が足繁く通っている行きつけのバー「ザ・カクテルショップ」で収録させていただく事になりました。

JR亀戸駅から徒歩4分「ザ・カクテルショップ」


お店自体が開くのは夕方以降なんですが、今回は特別にお店のマスターのご厚意で、お昼から貸し切りで利用させていただけることに!ヽ(*°ω°)ノ マスター偉い!

このお店は先生の仕事場のすぐそばにあるバーで、アシスタントさんに教えてもらって知ったとのこと。お店の雰囲気がとてもいいのと、先生のお酒好きもあってか、もうほぼ毎日通うぐらいの常連のお客様に…。

今回のインタビューは、場所が先生のお仕事場に近いという点から、特別企画で「鬼ノ仁先生の仕事場探訪」も同時に行わせていただきました!

ゲストプロフィール
鬼ノ仁(きのひとし)
1999年「コミックライズ」(メディアックス)でデビュー。繊細かつ大胆なハードコアエロマンガで多くのファンを獲得、現在も業界のトップランナーとして作品を送り出している。マンガ家としては珍しい「一級建築士」の免許を持つ。無類の女子高生好き!


■マンガ原稿の依頼がハガキで来た!

稀見:今日は大変にお忙しい中、インタビューに応じていただき本当にありがとうございます。
今日は特別にインタビューを、鬼ノ仁先生行きつけの亀戸のバー「ザ・カクテルショップ」でさせていただいています。最後にマスターからも鬼ノ先生についてお伺いできればと思っています。それでは、よろしくお願いいたします。
鬼ノ仁:よろしくお願いします。寝起きなので変な事言うかもしれませんが、物議を醸すくらいでちょうどいいかもしれません。(笑)
稀見:あと今回も「エロマンガノゲンバ Vol.2」の月野定規先生の時の回と同じく、お友達ゲストとして「おかのはじめ先生」をお迎えして…、と思いましたが、あれ先生がまだ来てないみたいです(^_^;
では、到着しだい加わっていただきましょう。
まず、定番の質問ですが、デビューのきっかけからお願いいたします。調べたところによると、先生の同人誌「さすがの猿飛」を、見た編集さんから声がかかったと…?
鬼ノ仁:と思っていたんですが、どうやら違うようです(^_^;
「NAS-O」先生の同人誌に寄稿したのがきっかけだったみたいです。NAS-O先生の担当編集者さんの部下みたいな感じで、S田編集長(後の鬼ノ先生の担当さん)がいて、声をかけてきてくれたんです。

NAS-O illustration works


稀見:先生の個人誌ではなく、寄稿したマンガを見て連絡をくれたんですか!
鬼ノ仁:時期的には「さすがの猿飛」の同人誌を出したときだったので、そっちか?と思っていたんですが、実際はNAS-O先生の方だったみたいです。た、たぶんですが…(^_^;
それで、ハガキが来ました!
稀見:ハガキ!?(;゚∀゚)=3
即売会とかに直接いらしたのではなく?
鬼ノ仁:同人誌の奥付に載っていた住所を見てS田編集長がハガキをくれたんです。うちで描いてみないか!みたいな内容でした。
その時は仕事が全くなかったので、ちょうど良かったです。私の方もたぶんハガキで返してます。電話かける勇気なかったと思いますから(^_^;
稀見:なんと! 今じゃ絶対ありえないようなやりとりじゃないですか(笑) 今だと、メールや電話ですよね。ものすごく新鮮です! いや、ピュアですよ!
鬼ノ仁:98年ですから、まだそんなにネットも一般化しているわけではなかったですからね。それで、そのあとに電話がかかってきました。で、打ち合わせをして描いたマンガがすぐに載ったという感じでしたね。
稀見:お~、ある意味とんとん拍子というか、オファーされて初めて描いた商業用のマンガがすぐに掲載されたわけですね。それがこの「ミスリル」(コミックライズ1999年4月号)だったと…!

「コミックライズ」(1999年4月号)


デビュー作の「ミスリル」


鬼ノ仁:2月頃描いたので、4月号ですね。いや~やめましょう!(笑)(雑誌をすぐに伏せる)。
内容に関しては特に指定がなかったので自由に描きましたね。


■デビューしたときは借金が200万ぐらいあったんです

稀見:このデビュー作を描いたあとはすぐにまたオファーが来たんですか?
鬼ノ仁:これ(デビュー作)を1回描いて、S田編集長はコアマガジンに行っちゃうんです(S田編集長は元コミックハウスの編集)。なので、S田編集長とコミックハウスでやったのはこれだけですね。で、引き続きコミックライズで別の担当さんで1回描きました。
稀見:このあたりですかね?(作品リストを見せる)
鬼ノ仁:そうですね、コミックパレット(パソコンパラダイス増刊)で結構描いていますね。これは別の編集さんで、ライズで描いたデビュー作を見て何故か声をかけてもらいました。いや~ありがたいことです(^_^;

コミックパレット


稀見:99年にデビューして本当に凄い勢いで作品を発表したわけですが、ある意味生活ががらっと一変した年だったと思います。先生の中ではどのような年でしたか?
鬼ノ仁:無我夢中でしたね。その前の年までは何もすることがなく…(^_^; 
デビューしたときは借金が200万ぐらいあったんです。それを原稿料で少しずつ返済して行きましたね。なので、デビューの喜びと言うよりは仕事があるという喜びの方が大きかったですね。
稀見:では、特にマンガ家を目指していた、という流れでのデビューではなく?
鬼ノ仁:なりたいという気持ちは誰にでもあるとは思うんですが、強い意思でなりたいという意識はなかったんです。
稀見:でも、いきなりこれだけの作品が描けるのは才能があったからだと思いますよ!
鬼ノ仁:最初は自分が何を描いているのかわからなかったですね。わかったのは、やって8~10ヶ月目ぐらいですかね。あ、エロマンガ描いてるんだ…って。マンガにする事自体が大変で、意識がエロにまで行ってなかった気がします。


■図面をコツコツ描いて暮らしていけるんだったらこれでいいかなっと

稀見:鬼ノ仁先生と言えば、やっぱり聞かないといけないのが、特殊な経歴&資格をお持ちになっているという点ですね。「一級建築士」の資格を有し、かつて設計事務所を開設してお仕事をなさっていたという。この辺を詳しくお聞かせください。

「1級建築士」の免許証だ!!


鬼ノ仁:「東京デザイナー学院建築デザイン科」を卒業して、まずは普通に設計事務所に就職しました。
稀見:それは、小さい頃から建築家になるのが夢だった!?
鬼ノ仁:いや~一人で図面とか描くのが好きな少年だったんです。なので、特に建築に思い入れがあった訳じゃないんですけど、図面をコツコツ描いて暮らしていけるんだったらこれでいいかなっと。基本しゃべるのが嫌いなので。
稀見:同じ仕事でもサラリーマンの営業よりは、職人的な仕事の方が合っていると思ったわけですね。
鬼ノ仁:そうですね~。ドラフトマン(図面引き作業が専門で、おもに基本設計以降の各種詳細図などを書く人を指す建築用語)で食っていければそれでいいかなっと。
稀見:まったく素人なもので、建築に関してはわからない事ばかりなんですが、建築士の試験というのは具体的にどのようなものがあるんですか?
鬼ノ仁:学科がいくつかあります。学科試験が計画・設備・法規・構造・施工ですね。学科に受かると2次試験で製図の試験があります。
稀見:専門学校に行っている人は皆さん目指して受かるレベルなんでしょうか?
鬼ノ仁:いや、自分は受験用に別の学校に行きました。というか、大学とか専門学校を出て、まずは実務経験が必要なんです。なので、26歳の時に日建学院という資格の学校へ行きまして、それで受験しました。結構時間かかるんですよ~(^_^;
稀見:いや~、あらためて、凄い資格(一級建築士)をお持ちなんだとわかりましたよ。専門学校を出て、さらに就職して実務経験を6年積んで、そこでさらに難しい試験をクリアーしないと持てない資格なんですね。
鬼ノ仁:でも、逆に普通の免許、例えば車とかは持ってないんですよ(^_^; 個人的にはそっちの方が凄いな~とおもったり。もうこの年になると怖くて運転しようと思わないですね。
稀見:いやいや!!(;゚∀゚)=3 
あ、でも最近は結構自転車を乗り回しているみたいですが(笑)
鬼ノ仁:いや~普通にアマゾンで買った自転車ですが(^_^;

先生の愛車 TOP ONE シマノ6段ギア搭載 折畳自転車


稀見:話は戻りますが、設計事務所での仕事はかなりきつかったとお聞きしましたが、実際はどういう感じだったんですか?
鬼ノ仁:当時はバブルで1年目、2年目はよかったです。私みたいな新入りでも色々実務経験させてもらったので。でも3年目に入ってバブルが崩壊したんですよ(^_^;
稀見:(;゚∀゚)=3 会社内部のつらさと言うよりは、社会情勢??
鬼ノ仁:それもあるんですが、その時にちょうど会社の社長が替わりまして、「交通系」…駅ビルとかの設計を主にやってる設計事務所から新社長が来たんですが、その方が日本の高度成長期時代を支えた体育会系の人で、ストレスで胃を切るくらいじゃないと一人前じゃない!という信条を持った方で。
実際その人の部下も一緒に会社に乗り込んで来たんですが、胃を切除してましたね…。で、以前の仕事のやり方を全否定されてしまって、あまりにも辛くて3ヶ月ぐらいで会社を辞めました。
稀見:そ、それは本当にご苦労様でした(;゚∀゚)=3 
すいません、もう1つ素人の質問なんですが、資格を持ってない人は設計事務所などではどういう仕事を任されるんですか?
鬼ノ仁:あ、設計事務所には最低一人資格を持っている人がいればいいんです。その人が「管理建築士」ということで事務所登録すれば、誰が図面を描いてもOKなんです。最終的に「管理建築士」が目を通して、OKを出せば問題はありません。
稀見:ああ~なるほど、レストランで下っ端が下ごしらえをしたりした料理を最終的にメインシェフが味見をしてOKを出せば問題ない、というシステムですね。一番上の人が目を通して、問題がなければ法的に問題が無いと…。
鬼ノ仁:だから逆に有名建築家でも、資格を持ってない人はいますよ。
稀見:で、何度か転職されて、最終的に自分の設計事務所を開設されることになるんですが、それはどのような経緯だったんですか?
鬼ノ仁:その当時勤めてた設計事務所の社長が仕事が出来ない人で、資格だけは持ってるんですが、実務の図面が描けないんですよ。試験に受かる図面と実務の図面は全く別物なので…。だから資格を取ってすぐ辞めちゃって自分ではじめました。当時千葉に住んでたので開設するときは土木事務所に申請しました。
仕事自体は、ほかの設計事務所の下請けが基本でしたね。エロマンガ家になったのが30歳の時だったので、3年ぐらい設計の仕事をしていました。いや、仕事なかったな(笑)


■寒村出身だったので、そういう文化はあまり知りませんでした

稀見:建築士としての先生の足跡はよくわかりました。もう一つの源流、同人活動に関してお話を聞かせていただけますか?
鬼ノ仁:同人活動を始めたのは26歳ぐらいだと思います。
稀見:意外と遅いですね?
鬼ノ仁:そうですね、意外と遅いんですよ。パソコン通信とかを20歳の頃からやっていたんですけど…。
稀見:ニフティーとかですか?
鬼ノ仁:ニフティーにも入っていましたけど、基本は「草の根」の方ですね。そこで、CGとかをアップしてたんですよ。その関係で、他にアップしている人に誘われてイラスト本とかを始めたのがきっかけですね。はじめはマンガじゃなくてイラストでしたね。
稀見:その頃からフルデジタル?
鬼ノ仁:いや、イラストはペンで描いたものをスキャナーで取り込んで、そこからですね…。ソフトは「マルチペイント」でした。16色でドット打ってましたね。
稀見:では、同人活動をするまでは、そういう活動は全く知らなかったんですか?
鬼ノ仁:そうですね。寒村出身だったので、そういう文化はあまり知りませんでした(^_^; 最後の晴海には行った記憶がありますね。最初はパソコン通信で知りあった仲間で合同誌を出しました。単独で出したのは27歳頃だったと思います。
稀見:同人誌のジャンルはなんだったんですか?
鬼ノ仁:パロディー?? 
エロゲーとかが多かったかなぁ。sogna(ソニア)の「バイパー」シリーズとかですね。アニメは、ウテナとか…。

VIPER-V16 (バイパーブイシックスティーン) (c)sogna


稀見:それは意外でした。もっとがんがん同人活動をしていて、人気があって、満を持してデビューみたいな印象があったので…(^_^;
鬼ノ仁:いやいや、まったくでしたよ。


■描いてて一番調子がいいときって、酸欠とか偏頭痛になるような感じ

稀見:先生は「ライズ」でデビューして、そのあとコアマガジンに所行の場を移されましたが、それはやはりS田編集長からのオファーだったんですか?
鬼ノ仁:そうですね、S田編集長は、その時はコアマガジンで桜桃書房の「桜花」という雑誌の編集もやっていたんですが、その雑誌に描かないか?というお誘いがありました。その関係でコアマガジンさんで仕事を頂くようになっていきましたね。
ただ、「桜花」はS田編集長ではなく別の編集者の方だったんですが…。確か、その頃に「メガストア」が立ち上がったんだと思います。

「コミック桜花」(桜桃書房)


稀見:初めての単行本「制服少女」をコアマガジンから出版することになったわけですが、このときはどのような心境でしたか?
鬼ノ仁:そうですね、恥ずかしかったのであまり考えないようにしました(^_^;
稀見:え、恥ずかしい??(;゚∀゚)=3
鬼ノ仁:最初は桜桃書房さんで出る予定だったんですが、いろいろあってコアさんから出していただきました。ひっそり出せればいいな~と思っていたので、後はとにかく”お金”になれば…と。借金生活だったので…。
稀見:でも、私の持っている本でももう19版ですよ。ひっそりというレベルではないですね(^_^; 初単行本でこれだけ出ているというのは本当にすばらしいですよ!
鬼ノ仁:いや~~ありがたいですね。本当コアマガジンさんは優秀な営業さんがいて・・・(^_^;
稀見:それだけ売れるだけの要素があったんだと思います。自分の中ではそういう手応え、反応などを感じることはあるんでしょうか?
鬼ノ仁:ティーアイネットで描いた時にはアンケートを貰えるので手応えが分かりやすくて良かったですね。描いてて一番調子がいいときって、酸欠とか偏頭痛になるような感じになって、その状態で描くのが一番いいものが描けましたね。私のここ(頭を指さしながら)は飾りなので(笑)手を動かしながらじゃないと描けないんですよ。典型的な手で考えるタイプの人間です。
頭で考えてもいいものにならないですね…。
最初の頃で言うと「そしていつまでも」(単行本:制服少女収録)を描いてからすべて変わった感じがします。今でもこの作品の延長で描いているという感じはしています。

「そしていつまでも」


稀見:調子がいいときは、考えなくてもまさに溢れ出てくるという感じですね。でも、確かにこのあたりの作品が、先生の作品の方向性をかなり決めた感じはしています。
おかの:遅れました~
稀見:おお、ようやくおかのはじめ先生の到着です!お待ちしていました。もう、だいぶ残り少ないですが(^_^;
おかの:すいませ~ん、話の腰を折ってしまって(^_^; 
どうぞ続けてください。
稀見:いや、先生もどんどん割って入ってきてくださいね!
先生の創作の秘密についてお聞きしたいと思いますが、いつもどのような状態からお話を考えるんでしょうか?
鬼ノ仁:いきなり絵を描き始めます。
描きながらじゃないとわからない…。最初ほんの小さな点があって、そこを手がかりにゆっくりゆっくり出してくるんです。急ぐと壊れちゃうんで。
稀見:う~ん、匠の世界ですね。なんというか、描いている本人しかわからない微妙な感覚ですね。そういう感覚を研ぎ澄まして描いている感じです。描き始める順番などは?
鬼ノ仁:一番エロいシーンが先にあって、そこに至るまでをどうしようか? という感じですね。まずエロありきで考えているんだと思います。
稀見:一番エロいシーンを軸に話を広げていく感じですね。でも、確かにその方法だと連載ものは辛いですね(^_^;
鬼ノ仁:はい、連載は辛いです(笑) 読み切りで燃え尽きるのが一番いいですね~。
稀見:今はもう原稿はフルデジタルなんですか?
鬼ノ仁:いや、いまでもペン入れまではアナログでやっています。

仕事場の机に無造作に置かれている生原稿


稀見:あ、そうなんですか! ものすごいパソコン環境で、かつ液晶タブレットも使っていると聞いたので、すっかりフルデジタルなのかと! これは意外でした。
鬼ノ仁:いきなり画面には描けないですね。本当はエロはアナログでやった方がいいと思うんですよ。アナログでペン入れして、うん、エロいな~と思っても、スキャンして画面に出しちゃうと、なんかエロさが飛んでいるような気がするんです。
全部デジタルで描ければそれはそれできれいに出来る気はするんですが、エロはアナログの方がいいですね(^_^;
稀見:じゃ、商業も同人も基本は、アナログペン入れでそこからデジタル作業、という訳ですね。
鬼ノ仁:はい、そうですね。その辺は特に分けてはいません。
稀見:先生のマンガはとにかく描き込み、画面密度が高くて、マンガとしてとても読み応えがありますよね!
鬼ノ仁:背景を描くのが好きというのもあるんですが、やっぱりゴリゴリ描いていかないと燃えてこないんですよね。
なので、やる気を持続させるために密度を上げている部分はあると思います。


■私的には、文字でなにがわかるのか? という想いがあります

稀見:制作の過程の話ですが、プロットなどはどのような形で作るんでしょうか?
鬼ノ仁:プロットはないです。担当さんに締め切り日だけ教えてもらって、もうそのまま描き始めます。私”文字”で考えられないんですよ。とにかく絵を描きながらひねり出す、という感じなので、早め早めに絵を描いて出すようにはしています。下書き段階で見せて直します。
稀見:大まかなジャンル、こんな感じで行こう!みたいな話もないんですか?
鬼ノ仁:基本ないですね。エロくすれば何とかなる世界なので…(^_^;
稀見:S田編集長は皆さん(他に担当している作家さん)そういう進め方なんですか?
鬼ノ仁:いや、基本プロットは出せ!といいますね。ただ私は出せないのでって(^_^; S田編集長は今でも言います「プロットは出せ!」って(笑)
私的には、文字でなにがわかるのか?という想いがあって。最終的に絵にするわけで、文字の段階では全然わからない訳じゃないですか。なので、絵にして見せるしかないという感じですね。でも、白泉社時代はプロットを出すしかないので大変でした…(^_^;
一般マンガだったら出さないといけないとは思いますが、エロマンガだったら出さないで描いた方がいい人もいると思いますので、そのあたりは編集さんも理解してあげてほしいところです(^_^;
稀見:作画作業に入る前にネームは描くんですか?
鬼ノ仁:いや、いきなり下書きですね。ネームはないようなもんですね。
おかの:それが同人誌(画像)になってるぐらいですからね(笑)

下書き同人誌?「おとうさんといっしょ3」


稀見:す、凄いです。下書きで十分見せられるレベルのクオリティーになっているという…(;゚∀゚)=3
鬼ノ仁:今はある程度考えながら、順番に先頭から描いていきますね。で、スピードで言うと、ページ数=日数なんですよ、だから20Pなら20日ですね。
稀見:今アシスタントさんは?
鬼ノ仁:背景アシスタントさんが1人、ネットアシスタントさんが2人ですね。ネットアシさんは基本トーンだけで、この体制は白泉社で描き始めてからですね。
稀見:じゃ、最初の頃なんかは一人で描かれていることが多かったんですよね。あのスケジュールで、あの密度のマンガは大変だったんじゃないですか?
鬼ノ仁:う~~ん、大変だったかな~~(^_^; 頭が偏頭痛でガンガンしていたので、ハイになって描いていたのかな~(笑)
稀見:先生の単行本の特徴と言えば、やはりカバーを取ったときの表紙の「魂の叫び」のコーナーが1つあると思うんですが、熱烈なファンもいるとか(笑)。このアイディアはどのように浮かんだんですか?
鬼ノ仁:毎月雑誌を買ってくれている読者には、あまり単行本を買ってもらう動機がないな~と思っていたので、なので単行本独自の特典みたいなものを付けたかったという感じでしたね。しかも、ここがいつも楽しみだ!と言ってくれる読者の方もいて(^_^;

カバー下はいつも魂の叫び!


稀見:今でこそ、この場所にカバーとは違うおまけ絵や4コマなどを描く作家さんも増えましたが、この当時(2000年)としては結構珍しかったと思いますよ。しかも、エロではなく、オヤジの戦いですからね(笑)
でも、マンガに出てくるS田編集長は、ものすごく恐い人に見えます(^_^;
鬼ノ仁:いや~S田編集長は直接は言わないんですが、もう少しネチネチしています(笑)
一時期かなりダイエットして体重を半分にしたんですが、今はまた元に戻っています(笑)
稀見:カバー下の絵は読者サービスですね。後、裏はマンガ解説(いい訳)ですね。
あ、それで思い出しました。先生の作品リストを作ったんですが、もう既に先生がリストをほぼ完璧に作ってくれていたので、今回は本当にまとめるのが楽でした(笑)
これは、ほんと全ての作家さんにお願いしたいところです(^_^;


■パンツは好きですが、おっぱいには興味がないですね

稀見:影響を受けた作家さんを教えて頂けますか?
鬼ノ仁:やはり「金井たつお先生」ですね。「いずみちゃんグラフティー」ですね~(笑)
稀見:ジャンプですね。いや、懐かしいです。1981年ですから、30年前ですね。
鬼ノ仁:後は「桂正和先生」、「吾妻ひでお先生」、「鴨川つばめ先生」ですね「マカロニほうれん荘」の。たまに、Hなシーンがあるのが好きでしたね~。
成年マンガ家でしたら「松原香織先生」ですね。線もきれいですし、かっこいいですよね~。

エロマンガ雑誌だと「ブリッコ」とか読んでいました。実写だと「セクシーアクション」とか、中学生の頃に(^_^; 盗撮雑誌(笑)だったんですが、テニスウェアとかが好きだったんですよ。なので、たぶんその頃にいろいろなフェチ要素が養われたかも知れません。
あと、Hな本の自販機とかもありましたね。畑の真ん中に立ってるんですよ。余計目立っちゃうし、買うときに音が「ブー」って鳴って、「ガシャン!」と落ちてくる(笑)

盗撮投稿雑誌「セクシーアクション」


稀見:ものすごく焦りますよね~(^_^;
先生のエロに対するフェチの部分として、パンツ、ローアングル、ちらりズム!というのが常にあると思うんですよ。モロじゃない、隠れた部分に対するエロですよね。確かに、この頃にそういう部分のフェチを培っていっていたのかも知れませんね(笑)
鬼ノ仁:そうかもしれませんね。パンツは好きですが、おっぱいには興味がないですね。基本下半身が好きで、はいている方がいいです(^_^; 普通のパンツがいいです。本来見せるためにあるものじゃない部分が見えるというところにフェチを感じますね。
高校生の頃だったかなぁ…?。初めてアニパロのエロ本を読みまして衝撃を受けましたね。普通にアニメに出てくるキャラをこんな風に(Hな展開)しちゃうなんて…(^_^; 初めて読んだ同人的なマンガだったので…。
稀見:単にHなマンガではなく、普段はHではないキャラクターを作者の力でHな展開にしてしまう「妄想力」に衝撃を受けたと!
鬼ノ仁:これは凄いぞと思って、しばらくショックを受けていましたね。頭がガーンガーンとしてました。こんな世界があるんだ、これでいいのかって?!(;゚∀゚)=3
なんか、凄くいけないものを見てしまった感覚でした。そして、あまりのショックで買えなかったです。
稀見:でも、最終的にはその路線に自分も進んでしまうと(笑)
鬼ノ仁:はい、勝てませんでしたね(笑)
稀見:先生のフェチにはもう一つ制服、女子高生がありますよね。これのエロ源流は?
鬼ノ仁:いや~~やっぱりそれは、恵まれない中高生時代の影響でしょうか? やっぱり、憧れますよ~(笑)
おかの:わかります、わかります。僕も男子校だったので…。
鬼ノ仁:なので、おかの先生と生まれ変わったらJKになりたい、なりたいって言い合ってますよね(笑)
稀見:JCではなく、JKなんですね?
鬼ノ仁:私はJKですね。JCだとまだ子供な感じが・・・何か悪い気がして。JKは大人と言えば大人だし、子供と言えば子供というどっちつかずなところがいいですね。

おかの先生の新刊に寄稿した鬼ノ先生の帯。JKになりたい!


稀見:ま、あとは恵まれない学生時代というものが大きいと(笑)
でも思うんですが、恵まれていない男子がこれだけ多いから、エロマンガの設定で高校生というのがあるんだと思いますよ。リア充になりたかった学生時代のカタルシスなのかもしれません。


■人間的には大好きなんですが、仕事は一緒にしたくない

稀見:鬼ノ先生と月野定規先生、おかのはじめ先生はプライベートでもとても親しいと聞きましたが、そもそもの出会いはいつ頃だったんでしょうか?
鬼ノ仁:月野先生はコミケに出てるときに挨拶に行ったのが最初だったと思います。おかの先生は、コアの飲み会が最初だったっけ?
おかの:多分そうだと思います。
稀見:そこから、どのように親しくなって行かれたんですか?
鬼ノ仁:やっぱり、私は付き合いやすい人が好きなんで(笑) いろいろ声をかけてみて、この人は付き合いやすい人だとか…(^_^;
月野先生も小難しい人ではあったんですよ、でも、ただこの人たぶんいい人なんだな~という”何か”があったんですよ(笑)仲良くなれそうな人は、なんとな~くわかるんですよ(^_^;
おかの先生は人間的には大好きなんですが、仕事は一緒にしたくない(笑)
おかの:一度1週間ぐらいずっと家に泊めてもらって、というか缶詰で自分の同人の作業をやってたんですよ。そこで、さんざん自分のふしだらな生活ぶりを晒してしまって(^_^;
鬼ノ仁:でも、結局同人の線画が全然進まないまま帰っちゃったじゃないですか!! それで、同人も落ちちゃってヽ(*°ω°)ノ
仕上げの人間はこちらで用意するから、おかの先生はきっちり線画をお願いします!って言ったんですよ。で、しばらくほっといて自分の仕事してたら「フォトショップの使い方はこうですよ」って、仕上げの人間にフォトショップ講座を開いてて。そういう場合じゃないんだよ!ヽ(*°ω°)ノ
おかの:その時は確か、そのアシさんがまだCGを初めたばかりだったので…(^_^;
鬼ノ仁:だから、そんな操作を教えている場合じゃないんですよ、線画を描いてくれと(笑)
そんなことがあって、頭を抱えてしまったことがあったんです。だから仕事は…(^_^;
稀見:この優しい鬼ノ先生を、そこまで怒らせてしまうおかの先生もある意味恐ろしいです(笑)
鬼ノ仁:でも、人間的には”とても”いい人です! そういえば、6年ぶりの単行本が出たんですよね!
おかの:あ~鬼ノ先生に帯を描いていただいたんですよ。(と献本を見せてくれる)
稀見:おお~カバー裏もカラー! しかも、カラーページ64Pもあって1,000円(税別)ですか!凄いですね。

おかのはじめ新刊「あねかん」


鬼ノ仁:おかの先生ったら帯の依頼の時に「明日締め切りなんだけど…」って(笑)
おかの:いや、明後日。(笑)


■続き(完全版)は同人誌で!

インタビュー後、みんなで鬼ノ先生のご自宅を訪問! 膨大なフィギア、生原稿、など非常に貴重なものをたくさん見せていただきました。この「自宅探訪」の様子は同人誌のほうにマンガとして載っていますので、是非読んでね!



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【インタビュー関連リンク】
 
45 ero

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